「振動数」と「周波数」。
これ、いろんなところで聞くと思うんですよ。
「コンセントの電源周波数」とか、
「ラジオの電波の周波数」とか、
「『ラ』音の振動数」とか、
「赤い光の振動数」とか。
先に正解を言っちゃうと、どちらも同じ物理量を指してます。
英語だと「Frequency」。
他の訳に「頻度」とかいう意味もあるんですが、つまり
「1秒間に何回「同じ形のグラフ」が出てくるか」
の度合いです。単位は「Hz(ヘルツ)」。
で、「振動数」と「周波数」は同じ意味なんですが、使う分野が違うという。
じゃあどんな分野で使ってんの?って話です。
目次
理学 vs. 工学
「振動数と共鳴」「周波数と共振」
おおざっぱには、
理学系では「振動数」の訳、
工学系では「周波数」の訳、
がよく使われます。
その絡みで、例えば
「『叩くと(基音が)440Hzの音を出す音叉』の近くで、『ピアノで『ラ(440Hzで調律)』を鳴らす』と、叩いてないのに音叉が鳴り出す現象を『共鳴』という」
んですが…
「共鳴」は理学用語だったりします。
じゃあ工学はというと、「共振」。
どちらも「Resonance」の訳語。
同じ「波動の性質に関する現象」です。
音楽用語的に「振動数」がいいな…
ここで、
「音楽で『共鳴』を使うんだから、『振動数』の方がよくない??」
とかいうゴリゴリの主観が発生。
このブログでは、頑なに「(音の)振動数」と書いてます。
これ、俺のこだわりなので、適宜「周波数」で読み替えてもらってもOK。
単純に同じ意味だよ!ってことを書いておきたかったんですよね。
あと、このブログでよく出てくる「倍音」という概念。
これはほぼ音楽でしか使われない模様。
倍音
その他の学問での「倍音」にあたる概念は「高調波」と呼ばれます。
ノコギリ波は、
\[
ノコギリ波(t)=-\frac{2}{\pi} \sum_{k=1}^{\infty} \frac{\sin(kt)}{k}
\]
なんですが、そのうち
\[
\frac{\sin(1×t)}{1}
\]
の項を基音(倍音の基準となる音波)と言い、基本波(高調波の基準となる波)と言います。
どっちも同じ意味。
そして、
\[
\frac{\sin(2×t)}{2}, \frac{\sin(3×t)}{3}…
\]
の項を
2倍音、3倍音と言い、
第2高調波、第3高調波と言います。
どっちも同じ意味。
他にもある「理学 vs. 工学」
「場」と「界」
「俺が」意識して使い分けてる「同じ意味の別語」で、
「電磁場」と「電磁界」ってのが。
これは、もっぱら
理学→「電磁『場』」
工学→「電磁『界』」
と使われる語。
『場』と『界』はどちらも「Field」の訳語。
「力を及ぼすところ」という意味。
で、俺の場合は、ですが…
普通に話す時は「電磁場」を使ってて、
工学的に作られたFET(Field Effect Transistor)は「電界効果トランジスタ」って言いますよね。
だから、「電界効果トランジスタは電場の影響で云々…」みたいなことを言いがち。
「モーターにかける交番磁界ってのは磁場の強さが云々…」とか。磁場より磁束密度の方が使うけど。
正直、「場」の方が単純によく聴くので、「場」で慣れさせたというところです。
でも、俺ちゃん実は高専出身なのでゴリゴリの工学系……
ということで、授業では「電界・磁界」って言う語で習いましたが、
ムリヤリ自分の中で「電場・磁場」と置き換えて聴いてました的な。
だってその後の量子論で「場」とか出てくるし、重力の「Field」は工学応用されてないから「重力『場』」だし…
というかんじで『場』のほうが分かりやすくない?
ところで古い記憶をたどると…
あ、でも中学で習うときって「界」だよね
理科の電磁石のはなしの時、「磁界が…」って語で習いましたよね~
義務教育を受け終わった段階での日本国民としては、馴染みは正直「電界・磁界」なんですな。
「工学屋は金持ってるから…」とかいうギャグもあったり。
正直なところ、中学で習わせるときは「磁場」の方がよくね…?って思ってる派です。いやまぁどっちでもいいっちゃどっちでもいいけど。
「光」と「電波」
あと、これも物理的に同じ現象を違う語で説明しちゃう系のヤツなんですが、
「光学」と「電気工学」のターム。
「光学」はわりと理学系で、
「電気工学」は読んで字の如く工学系。
それで、「『光学』で扱う『光』」と「『電気工学』で扱う『電波』」はどちらも「電磁波」なんですよ。
で、
「光」は「電磁波の振動数が比較的高い」、
「電波」は「電磁波の周波数が比較的低い」。
なんていう言葉遊びが出来るよ、と。
まぁそれはそれとして。
電磁波は向きがありまして。
そもそも電磁波というのは、
さっき出てた「電磁場」が時間的に変化すると、勝手に波としてどっかに伝わっていく、という現象のこと。
その「電磁場」はベクトルなので「向き」があります。
この向きはとりあえず方程式上「何らかの周期関数で表される」んですが、
それはたとえば「直線状に1~-1をいったり来たり」だとか、「なんかぐるぐる回ってる」とかになりそうです。
その「行ったり来たりする向き」だとか「ぐるぐる回る向き」が「電磁波の状態」を表す時、それらを「偏光(光学)」「偏波(電気工学)」って言うよと。
そんで、そのうちの「ぐるぐる回る向き」の状態を
「円偏光(光学)」「旋偏波(電気工学)」って言うんですが……
進行方向のベクトルを軸とした回転方向を決める「右・左」が逆に使われるという。
つまり、(定義上の向きはともかくとして)
「右円偏光」=「左旋偏波」
「左円偏光」=「右旋偏波」
みたいな。
むずかしいね。
成立過程が違うだろうし、仕方ないね
「訳語の違いは輸入するときに別ルートだったから」…とか、
「同じ現象だけど用語が違うのは研究時は別モノとして研究されてたから」…とか。
音楽用語も何で学んできたかによって「同じ状態」を「違う語で」説明するパターンがあったりetc.
まぁ方言みたいなものです。
とりあえず、このブログではなにかテクニカルタームが出たら頑張って一律になるようにしてるんですが、たまーーーーーーーに違う言い方しちゃう可能性が。
曲聴いて感想書く「○○のはなし」シリーズももしかしたら「同じことを違う言い方」してるパターンがあるかもしれません。
その時はご容赦願います…的なことを言いたかったのでこんな記事を書いてみました。
という感じ!
ばーい👋
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